出版社コメント
どこにでもあるような街の、どこにでもあるような学校。
どこにでもいるような母親と、どこにでもいるような先生。
どこにでもあるようなありふれた関係、のはずだった。
悪夢の“家庭訪問”までは――。
小さな街で起きた“体罰事件”は全国を駆け巡り、やがて裁判へと発展する。
世論の見守る中、正義の鉄槌が下るはずが……。
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あらすじ&ネタバレ
*序章*
平成17年5月12日
沢渡秀二宅の家庭訪問から始まる。
担任の杉谷は髪の赤いハーフのような顔立ちの秀二を「血が混じっているから純粋ではない」
太平洋戦争を持ち出し「日本にアメリカ人の穢れた血が混じっている」という。
偶然そのやり取りを聞いてしまった秀二は「僕は汚いの?」と、涙ながらに母親に問いかける。
そして教師によるいじめが始まる。
10数える間に帰りの準備が出来なければうさぎさん(両耳をつかんで持ち上げる)てんぐさん(鼻をつまんで振り回す)などの体罰を与えるというもの。
両親は学校に相談し、担任を変えるか、それが無理であれば担任教師を監視するように依頼する。
翌日から他の教師吉野が監視につく。
担任教師の杉谷は監視が付いたことを秀二のせいにし、体罰を与えようとする。
そこを吉野に見つかり、秀二のクラスの担任を外されることになる。
これで落ち着くと思った矢先、杉谷が秀二に接触。
「血のけがれている人間は生きている価値がない。死ね」と繰り返す。
秀二は屋上から飛び降りてしまう。
8月26日、市の教育委員会がいじめと虐待を認める。
大々的にニュースで取り扱われ、担任の杉谷は懲戒処分を受けることになった。
秀二は命に別状はなかったものの、杉谷に似た男性を見ると発作が起きたりPTSDを患っていた。
苦しむ沢渡家に週刊誌の記者小島から取材の依頼が入る。
全国へこの事件を知らしめなくては…
10月11日
沢渡夫婦は教師と死を相手取り、1300万円の損害賠償を求める訴訟を起こす。
12月2日
第一回口頭弁論
杉谷は「すべてがでっちあげだ」と主張した。
*第一章*
小学校の教諭 杉谷は家庭訪問に回っていた。
生徒たちにあだ名で呼ばれる人気者の先生。
一週間の間に全自動の家を訪問して回ることになるが、保護者の予定が優先されるためハードな日程になることも。
帰宅した杉谷は進路で悩む息子に
「若いうちの失敗は取り返しがつく。挑戦してみた方がいい」とアドバイス。
彼自身、昔こう言われ、教師を目指すことになったのだ。
何度も試験に落ちる中、自分に向いていないのではないかと思うこともあったが子どもの心の支えになれればと挑戦し続けてきた。
そんな父の姿を見て、杉谷の息子は将来の希望の職を教師と書く。
そこへ勤務先の小学校から電話が入る。
沢渡秀二の保護者から家庭訪問に来ていないとクレームがあったのだと言う。
予定表では沢渡家の家庭訪問は翌日のはず。
沢渡家に連絡を入れるが、今日で間違いないはずだといい、20時を回ってから訪問することに。
遅くなったことに秀二の母親は怒っていない様子で、杉谷はほっと胸をなでおろす。
沢渡の母親は、秀二がADD児ではないかということ、自身の祖父がアメリカ人であることを話した。
帰る隙を与えられないまま訪問から2時間が経とうとしていた。
感想
教師によるいじめ事件Wiki
Wikiで概要読めます。
取材を重ね書かれた福田ますみ氏の書籍「でっちあげ」の漫画版が!
2003年福岡市の小学校教師が、アメリカ人の血の入った児童に、人種差別からはじまるいじめを行う。
体罰や死ねなどの暴言もあり、児童がPTSDになったというもの。
全国のニュースで大きく取り扱われ、大注目されていましたね。
テレビも新聞もほとんど見なかった私でも記憶にある衝撃的な事件でした。
教師も懲戒処分をうけましたが、10年後教師によるいじめの事実が認められず懲戒処分は取り消された。
…という所まで知っている人は少ないのだろうと思います。
私も、マンガ読むまで知らなかった~
なぜ冤罪が起こったのか、でっちあげがまかり通ったのか?
序章と1章でかなり印象の違う訪問の様子が描かれています。
世の中にはちょっと偏向的な先生もいるし、言いがかりつけるモンスターペアレントもいるのです。
学校って先生と子どもしかいない特殊な空間で
どちらかがウソをついているとして、それを判断するのってとても難しいですよね。
マスコミがどちらかに肩入れして、真実を捻じ曲げて報道したら
人の人生を奪っちゃうのなって簡単なんだな~って思いました。
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